種分化と進化の実体1

(以下の記事は 進化論と創造論についての第1掲示板での[ユッキーさん]とのやりとりを加筆,修正したものです)

 

>>生物の突然変異は偶然ですが,遺伝によって子孫に伝わり,
>>
集団中に拡がります。
[ユッキーさん]これを現代、確認できる事例をお願いします。

 

キャベツなどの葉を食害するコナガという害虫がいます
有機リン系カーバメート系,合成ピレスロイド系、ネライストキシン系剤、キチン合成阻害剤, BT剤の農薬(殺虫剤)は,開発された当初は有効でしたが,1970年代以降,各地で抵抗性を持った個体が出現し,同系統の農薬を連用した地域では抵抗性が強くなることが観察されています
足立 年一・藤富 正昭 (1995)コナガ防除の現状と問題点、植物防疫:(49)5.173-177.

同様の抵抗性の発達は多くの害虫で確認されています
これらは,突然変異によって生じた「薬剤抵抗性」という遺伝形質が
農薬散布という選択圧によって集団中に拡がっていく現象です

  

選択圧のかからない中立的な変異が集団中に拡がった例としては,
ヘモグロビンの偽遺伝子の変異などがあります

分子進化の中立説 ~木村資生と中立説.遺伝学電子博物館.国立遺伝学研究所

 


[ユッキーさん]コナガは強くなって事ですね、でもコナガはコナガでしょ。

 

『薬剤抵抗性の獲得』が,
「突然変異によって生まれた形質が集団中に拡がったことを確認できる事例である」
という点は同意いただけますか?
我々はこの現象を進化であると考えます

ユッキーさんは「コナガという『種』が変化していないので進化ではない」と考えているようです
それでは,ユッキーさんの定義する『種』とは何でしょうか?

 

 

[ユッキーさん]読みましたよ、種とは?ですかぁ
        私が知ってるのは一般的な定義ほどなので
        別に言わなくてもよいでしょ。

 

『種の定義』は一般的なものに限定しても4つ以上は存在します
もちろん,一般的に認められている定義はどれも間違いではありません
しかし,私自身が「種」という語を使う場合は,
「今,使っている『種』は何番目の定義の『種』であるか?」を
意識しています
一つの議論の中で異なる定義の「種」を使用すると混乱が生じるからです
しかし,ユッキーさんの中での「『種』とは何か?」は
本人が思っているほど明確ではありません

 

>> 進化の証明は種から別種への過程を説明できなければ
>>証明にはなりません。という批判は無意味です。
[ユッキーさん]チョット判りませんね。
        進化の証拠は種から別種へ変異した可能性を
        言ってるのでしょ。